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精神医学者としてのユングと精神医学

カール・グスタフ・ユングは、フロイト(1856?1939)をはじめとする精神分析学の心理療法家たちとは異なり、当時いまだ発展途上にあった精神医学の研究者であった。精神医学の課題は、人間の精神つまり心(魂)に起こる、変調あるいは病を研究し、身体医学において成功したように、病よりの治療法を確立することが大きな目標としてあった。

しかし、精神の病とは一体何なのか。古代ギリシアにおいては、てんかんは神のもたらす神聖な病だと考えられていたが、近代ヨーロッパはそのような見方を否定した。とはいえ、それでは「てんかん」とは何で、どのような原因で起こるのか、理解していた訳ではない。広義に「狂気」とは何なのかが、定かでなかったと言える。

現象的あるいは症状的に精神の障害を記述し、分類を試みたのはクルト・シュナイダー(1887?1967)であり、シュナイダーの方法は、今日でもアメリカ精神医学会(APA)が定める DSM において症状記述として継承されている。
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シュナイダーより半世紀前に、精神の障害・異常あるいは病の系統分類で画期をもたらしたのは、ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリン(1856?1926)であり、彼は19世紀末、「早発性痴呆 (dementia praecox,1893年)」の名で精神分裂病(統合失調症)を定義し、躁鬱病や神経症とは根本的に何かが異なることを明らかにした。

スイスのオイゲン・ブロイラー(1857?1939)は、クレペリンの疾病概念をほぼ継承しつつ、精神が有機的な要素の連合として機能しており、この連合が何かの理由で乖離・分裂するとき、早発性痴呆の症状が生じるとし、早発性痴呆は必ずしも、「早発性」ではないことも考慮した上で、これを「精神分裂病群 (Schizophrenien)」と名づけた(1911年)。

ブロイラーは分裂病が、単一の精神疾患ではなく、機制の異なる複数の疾患の総称(症候群)である可能性を主張しており、複数形で表現した。後に、単数形で Schizophrenie と書かれるようになる。現代の知見においても、統合失調症(精神分裂病)は単一の精神疾患ではなく、複数の疾患か、更にそれらが輻輳したものであるとの考えが有力である。

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2009年06月08日 11:52に投稿されたエントリーのページです。

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